ショパン：マズルカ全集　2枚組
disc 1
第1番 嬰ヘ短調 ～ 第25番 ロ短調
disc 2
第26番 嬰ハ短調 ～ 第51番 イ短調 ［ノートル・タン］(遺作）

アルトゥール・ルービンシュタイン（ピアノ）
録音：1965年、1966年 ニューヨーク（ステレオ録音）

ショパン作品のあちこちにマズルカのリズムは顔を出しています。つまりショパンにとってマズルカとはその躯に染みついたもの、ゆえにその魂とも言える曲集。故郷からの痛みをともなう離切の痛々しい表白に始まり、距離が生み出した絶望的な諦念、そして外からのまなざしゆえに育まれた、伝統的枠組みから離脱する洗練の極致へと至る長きマズルカの長き旅路を克明に描き出したこのルービンシュタインの全集は、ショパンのエッセンスが詰め込まれた至宝です。2017年刊行の名曲名盤500では第1位に選定されています。

20世紀を代表する偉大なピアニスト、ルービンシュタインはマズルカをことの他愛し3回収録しているが、本盤は3度目の録音で唯一のステレオ盤。ルービンシュタイン78歳、老大家の貫禄たっぷりの悠然たる演奏である。ショパンと同じくポーランド出身であるルービンシュタインにとってはマズルカはまさに故郷の音楽であり、熱い共感を持って弾いているという雰囲気が楽音を通して伝わってくる。細部にいたるまで隙なく磨き上げられており、自他ともに許すショパン演奏の王者ルービンシュタインの模範的名演と言えよう。音質良好。

ルービンシュタインの端正でリリシズム溢れる演奏は、民謡が芸術にまで昇華されたひとつの典型です。二百数十曲しかないショパンのピアノ曲の中で、58曲と最大のジャンルを誇るマズルカ。このマズルカを、ショパンは生涯にわたり作曲し続け、絶筆もまたマズルカなのでした。

瞬間風速なら抜粋盤での、ホロヴィッツやミケランジェリの個別の演奏に良いものが有るかもしれません。但し、全曲通してのこの安心感は比類の無い喜びを与えてくれます。吉田秀和先生が云われるように毎日少しづつでもお愉しみいただければと思います。

国内盤、帯無し、盤面傷無し　20

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